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例えばもし赤也が顔を近づけてきて、唇を寄せようとしたら、私は喜んで目を閉じるだろう。 でもそれが叶わないお話というのだから納得いかない。そもそも私たちは付き合っているのであって、 私は赤也の彼女であって、キスぐらいかましてくれたって全然構わないのよ寧ろ待ってるのよ。 だけど当の本人はベッドに寝そべってジャンプ読んじゃってて、しかも私は漫画なんか読まないんだから 赤也の部屋なんかで何にもすることないんだよ。放っておかないでよ。 ていうか彼氏の部屋にいるのに何もされないっていうのはどうなの? 密室ふたりきり、彼女にちょっとぐらいムラムラしてくれたっていいじゃない。 赤也ってもっとエロいこと考えてるのかと思ってたけどそんなことないんだね。 せっかくショートパンツ穿いてきたのに。くすん。 そうして半泣きになったところで赤也がゲラゲラ笑い出すから(漫画読んで笑うなんて!) 我慢ならなくて、えいっと足を持ち上げて赤也を蹴ってやった。 おっと、咳き込んでるところを見るとメガヒット。 「いってー!何するんスか」 「うっさいバカ!ジャンプばっかり読むな!」 「あーこれ明日丸井先輩に回すから今日中に読まねーと」 「なにそれ!あたしは夕方過ぎたら帰っちゃうんだよ」 うわーんと嘘泣きしてやると、赤也がたじろぐのが分かった。それからすんません先輩、泣きやんでくださいよとか言ってジャンプを放り投げる。 なかなか素直な反応に、不覚にもキュンとしてしまった。 こいつ嘘泣きわかんないんだ。かわいいなあ。 いつも生意気なくせにこういうところがあるから好き。そしてどうしたら泣きやむんスかとか言いだしてしまったから、 このまま調子にのってみようかと思った。 「チューしたら」 「は」 「赤也が、チューしてくれたら」 「本気っすか」 「だって赤也なんにもしてくれないんだもん」 「えっしていいんスか!」 少しだけからかうつもりがこっちが驚かされる。何言ってんの赤也。 ちょ、ちょっと待ってよ、何じりじりこっち近づいてきてんの。 あんたの方がよっぽど調子のってんじゃないの。 「赤也、しちゃダメだと思ってたの」 「だってさっき顔近付けたら先輩そっぽ向いたじゃん!」 「なにそれ!いつよ」 「ジャンプ読む前」 「し、しらない」 「まじっすか!ありえねー」 「(そういえば一回顔近かったような…)あ、あたしはずっとしたかったのに、赤也は、」 「んなの俺のがやばいっすよ!」 いつの間にか嘘泣きなんて終わってる。そんなことしてる余裕はもうない。 やばいっすよとか言いながら赤也はどんどん距離を詰めてきているところを見ると、やっぱりこいつも健全な中学生男子だ。 そして私も立派な中学生女子、次の展開にそれはそれはもう期待しちゃってて。 心臓だってばくばく、私を見る赤也の目から目が離せないんだけど、ねえ、いつ目は閉じればいいの? 「俺我慢とかできねーし。ジャンプ読んでたらまだマシかなーって思って。でも」 「でも?」 「もう我慢しないっス」 |